ガ島通信

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チーム・ポリシーウォッチ「経済政策の専門家集団から見た政権とマニフェストの評価」

チーム・ポリシーウォッチは、竹中平蔵が中心となり、官僚、政治による政策立案の現実を知っている人間が集まり、民間の場からより厳しい批判をしていこうというチーム。私は、竹中平蔵の秘書官を5年半務めた。マニフェストの評価は初めてだが、マニフェストを作る側と評価する側はこんなに気分が違うのかと竹中と話したぐらい。気分が楽だった。研究者が多いので、定性的な評価になってしまったところはあるが、政策の現実経験からはこれくらいが妥当かと思う。
安倍政権は非常に評価できる部分と今一歩が混在している。評価は政策アジェンダを設定する応力。その点に関しては官邸は頑張っている。防衛庁から省への昇格、公務員の天下り廃止、など政策課題を設定してきた。その反面、設定された政策アジェンダを具体的な政策にする段階は、官僚に依存してしまっていて、出てくる政策が官僚的。いまの時代の流れの中ではインパクトが弱い。
経済財政諮問会議は、マクロ経済の運営と政策のアジェンダにも役割を果たせるが、十分に機能していない。政権運営は70点、詮索実績は中身を考えると60点ギリギリ。

参院選での各党のマニフェスト評価。与党と野党では、マニフェストを評価する基準が違う。与党は政策運営をしている。政府からは、骨太の方針、予算などから政策の方向性が現されている。日ごろの政権運営の延長戦でマニフェストを作っていれば合格点をとれるが、日々の運営があるだけに、大幅に上がるのも難しい。一方、野党は政策に関してはフリーハンドがある、100点も可能だし0点、与党以上に振幅が激しい。
三党ともマニフェストの出来はあまりよくない。政策が総花的でつぎはぎ。マニフェストとして必要な、目標、期限、財源が不明。自民党は手堅すぎる、民主党は方向性もない。
自民党は、量はあるが、155の政策の中は明らかに官僚の作文。いかに編集するかと言う部分が大事。自民党の重点課題7つ。成長を協調しているが、美しい国、成長、というキーワードを明確にしているのは評価しているが、憲法と成長を無理につなげるのは難しい。党で作ったと思われるが、もう少し工夫があったほうがいい。小さな政府を目指しているはずだが、小さな政府という言葉がない。

民主党は、決定的な問題点としてマクロ運営のフレームがまったくない。何もない。
無駄遣いストップと書いているが、ばら撒き政策以外の何者でもない。ばら撒きに財源の裏づけがあるのかと言えばまったくない。そこは大丈夫なのか。林業で100万人雇用と言っているが、現状で林業は5万人の雇用しかなく、リアリティに欠ける。前回のマニフェストの継続性は自民党より一層問題がある。高速道路の無料化を言っていたはずだが、重点課題が入ってない。自由度がある割りに厳しい。

公明党は、前回のマニュフェストの継続性は評価。マクロ運営の観点がなく、哲学が見えない。ばら撒き。政策現実の観点から妥当。

三党共通にいえることだが、いろんな政策を並べるのはいいが、政策のへそが見えるようにする必要がある。