ガ島通信

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言論NPO「安倍政権の実績とマニフェスト評価−政治は何を私たちと約束したいのか−」

マニフェスト評価を行うのは4回目。年明けから評価作業を開始。3000人の有識者にアンケート、関係者のヒアリングを行った。大学生のインターンが多数参加して評価を行った。マニフェストの目標設定、プロセスだけでなく、日本が抱えている課題について、答えを出し、答えについて取り組んでいるかも加味した。詳しい結果は、言論NPOのホームページに講評して、参院選までに書籍として販売する予定。有権者に、可能な限りの判断材料を提供したい。
質の低いマニフェストで、かなり低い点数になった。有権者のカウンターの力がないと日本の民主主義は機能しないという気持ちだ。政策は有権者との約束だが、今回のマニフェストは約束といえるものではまったくなかった。政党を批判しても仕方がない。こういうマニフェストを有権者は受け入れていいんだろうか。
評価について。安部政権は二つの制約がある。自身の公約の履行。これは、所信表明演説、施政方針演説や閣議決定を擬似的な政策サイクルとして考えウォッチした。もうひとつは小泉政権と国民が約束したこと。これにも制約を受けている。大きく離れた場合は説明責任を問うことになる。

そうであれば、郵政の復党はまずい。国民と約束を守っていない。また、小さな効率的な政府と美しい国というコンセプトに齟齬がある。官と民の新たなパートナーシップというのが、地域再生コミュニティという問題に大きく変わっている。例えば、経済特区地域再生に変わった。目的と政策の齟齬が出ている。地域を再生するというのは、先行者の利益を失ってしまうことになる。小さな政府の構造改革と美しい国の保守主義の間の整合性がなくなってきている。

また、非常に重要な問題。非常に大きな論点を安倍政権はこなしきれていない。公務員制度、社会保険庁などという問題を提案したが、グランドデザインは、所信表明や施政方針でまったくでなかった。国会を引き伸ばしたことは批判していない。グランドデザインを作ろうといいながら出来なかった。

マニフェスト155項目の公約を見て、皆さんハッとしたと思う。骨太を中心とした経済ではなく、安倍さんのやりたいことになっている。つまり憲法と教育。マニュフェストのサイクル上大きな問題がある。国民に対して説明する必要がある。また、財源のことはまったくない。将来に対する責任を果たしてほしい。

評価できないマニフェストは公示までに作り直してほしい。そして総選挙をやるべきだ。小泉政権とのサイクルとの連動に、国民と約束をするプロセスを経ていない。