ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

ウェブと地域格差とNet Marketing Forumワークショップのこと

一人シリコンバレー男こと工藤さんのエントリー「地方格差をなくすためにみんなでwebでがんばろうじゃ駄目な理由を考える

東京に出てきてからも月に数度、徳島に帰っている人間としてはとても気になる話題だったので少しばかりレス。

以前のような国土均衡的な発展はもはや望めず、人口に加えて、地方交付税や公共事業が減り、新幹線や高速道路が通る可能性は少なくなり、地方の経済が縮小傾向にあるのは事実です。そして、そのような従来型事業を当てにしていた人たちも困っている。しかし、東京で目に触れるマスメディアの報道などは、そのような地方の一端を部分的に紹介しているに過ぎません。確かに、一部にはとても困っている地域もあるけれど、地域や人は想像以上にたくましいものです。

たとえば徳島の上勝というところには「いろどり」という事業があります。
物の見方ひとつで資源や市場は生まれる葉っぱをお札に変えて「年商2億」日立建機・異業種発見)の紹介を抜粋すると

年寄りだからパソコンが使えない、携帯電話ができない……。
年寄りだから、田舎だからおっとりしている……。

巷間伝わる“世間の常識”は、ここ上勝町では偏見に過ぎない。

上勝のおばあちゃん、おじいちゃんは、ファクス、パソコンを駆使して「葉っぱ」を出荷しています。

ただ、特色のある地域として人を集めよう、一歩抜け出そうとすると、実際難しいことも多いと思います。そのためには工藤さんは

「世界とビジネスをする」といった意識が不足しているのではないかと考えます。

と指摘していますが、「世界」というと少し言い過ぎかもしれませんが、「視野を広く持っておく」ことは大切になってくるでしょう。

先ほどの上勝の例でも、地域では単なる「葉っぱ」が、東京や大阪の料亭では商品になることに気付いたことが成功のひとつの要因です(ただ、ビジネスになるまで担当者の方も相当苦労しています)。地域で当たり前のことが「少しの工夫」で、別の地域から見たら魅力的に映る。というのは農産物だけでなく、いろいろなことに応用できるはずです。

問題は「こんな平凡な街には良いものなんてない」というネガティブ思考であったり、一人よがりなビジネスであったり(地方では先進的でも都会からみたらすごくショボイとか)する点にあります。視野を広く持っておくだけでなく、どこが足りないのか、どこを伸ばせば良いのかを見極める「目」が必要なのです。

先日ブログで、仲間たちと運営している大手町ビジネスイノベーションインスティテュート(OBII)が、6日の日経BPの「Net Marketing Forum 2007 Spring」でワークショップをひとつお手伝いすることをお知らせしましたが、これは、ウェブを使った地域活性化、地域の情報発信について考えてみるものです。

問題意識としては、もう一歩特色ある地域づくりをするためにウェブを活用できないかということで、渋谷と和歌山で情報を発信している方々をゲストに招いてその、どこが足りないのか、どこを伸ばせばいいのか、色々な人が参加してディスカッションすることで、その地域の人では気付かない「良いところ」を探ってみようという試みです。

初めてのことで、どうなるか分かりませんが、参加者の皆さんと一緒に見極める「目」を考えてみたいと思っています。

ワークショップの模様はOBIIブログでご紹介する予定です。

なお、OBIIでは夏休み時期に実際に地域に行くことも検討中です。ウェブだけ、では出来ないかも知れないけれど、ウェブが発達したからこそ出来ることもあるはずです。