ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

最近「日経ビジネス」が面白い

日経BP社が出版しているビジネスマンを対象としている週刊誌「日経ビジネス」が最近面白いです。
最新号(4月2日号)の特集は「抜け殻正社員 派遣・請負依存経営のツケ」

読みどころで編集長は『「同質労働・同一賃金」は建前だけ。正社員はその座に安住し自らの職を磨かず、会社も安直に外注化と称して派遣や請負労働に依存する。内なる質の向上をおろそかにしてきたツケに苛まれています。特集は日本企業が直面する「自業自得の空洞化」にメスを入れました』と書いています。
特集の冒頭は国会でも取り上げられたキャノンの労組「キャノンユニオン宇都宮」の事例を元に、いかに職場から「正社員が消えていったか」を描いています。続いて、テレビ番組の制作、郵便局、システム業界を紹介、空洞化に警鐘を鳴らしています。また、単に危機を煽るだけでなくソフトバンクとユニクロの新たな人事制度も取り上げています。

特集の終わりはこう結ばれています。『経営者だけでなく、正社員一人ひとりが非正社員や下請け会社を見下し、自分では何もできない抜け殻になっていないか…』

日経ビジネスでは、これまでにも

  • 空疎な賃上げこんな労組いらない「働きがい」置き去りの罪(3月12日号)
  • 求む!話せる上司 仮面職場に立ち向かえ(2月19日号)
  • 管理職が壊れる 企業内多重債務者の悲鳴(06年11月6日号)
  • 目覚めよ日本 人材沈没「育てず伸びず」のデフレスパイラル(06年10月2日号)

と「働く」ことをさまざまな角度から取り上げてきています。単に「正社員化しろ」といった視点ではなく、OJT(オンザジョブトレーニング)崩壊の問題、労組のあり方、管理職や上司の大変さ、などで、日本の労働を取り巻く環境変化を丹念に取材していることが分かります。

日経ビジネスは、定期購読のみということもありますし(都心や空港などの一部書店では販売している)若い方の中にはあまり普段は手に取らない方もいらっしゃるかもしれませんが、「働く」ことに関心がある方は、ぜひ読んでみてください。

追伸 今号からスタートした「ネットのあした」も興味深い内容です。チームラボの猪子社長や「ミクシィ議員」として平田喜章氏(渋谷区議会議員)が登場。口コミマーケティングについての記事ではソニーのブロガー向けイベントも紹介されています。