ガ島通信

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NHKプロフェッショナル・宮崎駿スペシャル

泥まみれの虎―宮崎駿の妄想ノート
『3月27日のNHKプロフェッショナル仕事の流儀は、宮崎駿スペシャルの拡大版になります(番組枠は火曜日22時からに変更)』と番組の担当者からメールで連絡をいただきましたのでご紹介。

NHKのホームページの予告編をチェックすると、去年の春に取材の申し込み、若手ディレクターが3か月半、アトリエに通い、密着取材を敢行したことが書かれています。相当気合の入った長期取材を行ったことが伺えます。
メールには、密着取材を行ったディレクターのコメントも添えられていました。

「宮崎監督からは『仕事のつもりで来るな。話し相手のつもりで来い』と言われ、取材が始まりました。最初は、『近寄りがたい人』というイメージがありましたが、素顔の宮崎監督はとても話し好きで気さくな方でした。
しかし、映画作りに関しては厳格そのもの。まさに、『人生のすべてを注ぎ込んでいる』と感じました。アイデアが浮かんだと言っては大喜びし、その一方で、頭を抱えて『俺は枯れた』と嘆いたり、あれほどの巨匠でありながら、不安や迷いと闘いながら、寸分の妥協も許さず、映画作りにすべてを捧げる姿に、心を打たれました」

前回ブログで紹介した、浦沢直樹の時には取材の対象者に近すぎて、こなしきれていない印象を受けました。取材対象に徹底的に近づいても、飲み込まれてしまうと元も子もない。ギリギリまで近づいて、最後に突き放さなければ良い原稿、良い映像にはならないことが多いのです。巨匠と呼ばれる相手、それも取材をする側が思い入れがあるほど難しいのですが、今回はどうでしょうか。

宮崎監督に若いディレクターがどう挑み、編集するときどこまで「突き放し」「冷静に俯瞰」できたのか。映像で勝負するという点では宮崎氏とNHKのスタッフも同じ土俵にあるだけに、楽しみです。

プロフェッショナルは、取材の切り口、登場するゲストもおもしろく、時間帯もちょうどいいので、自宅にいればだいたい見ているのですが、時たまマンネリ化しているように思えます。

良いコンテンツを作るには、お金だけでなく、手間もかかりますし、アイデアも必要です。毎週と言うのは厳しい気がします。良質さを保つために、あえて隔週、もしくは月イチという選択肢もあると思うのですが。NHKとはいえ、視聴率や評判が良いと、なかなかやめられないのでしょうね…