ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

道警と道新の手打ちを阻止できるか「道政・道警・裏金問題を考える」シンポ開催

このブログでも何度か取り上げてきた北海道警の裏金問題について、10月29日にジャーナリストの田原総一郎氏や大谷昭宏氏、裏金を告白した元道警幹部の原田宏二氏らが出席してシンポジウムを開催するとのことです。シンポの概要は以下の通り。札幌は遠いですが、この問題に関心がある方は、参加してもらえるとうれしいです。

北海道はこれでいいのか!『道政・道警・裏金報道』を考える集い
日時:10月29日(日曜日)午後6時
場所:「かでるホール」(札幌市中央区北2条西7丁目)
基調講演:田原総一朗(ジャーナリスト)
パネルディスカッション:山口二郎北海道大学大学院教授)、原田宏二(元北海道警釧路方面本部長)、宮崎学(作家)、大谷昭宏(ジャーナリスト)
コーディネーター:市川守弘(弁護士)
入場料: 1,000円
お問い合わせ:10・29北海道を考える集い実行委員会
(TEL. 011-272-0500)

このシンポは、30日に開かれる訴訟の前に行われます。その訴訟とは、元道警総務部長だった佐々木氏が「警察幹部を逮捕せよ!―泥沼の裏金作り」(旬報社)と「追及・北海道警「裏金」疑惑 (講談社文庫)」(講談社)の中に事実と異なる記述があり、名誉を傷つけられたとして、道新と本を執筆した記者、出版社を相手取って、慰謝料と本の回収・廃棄、謝罪広告の掲載を求めているものです。
シンポが開かれる理由は、オーマイニュース台記者の記事「被告と原告の“手打ち”を許さない〜道警裏金本訴訟で、大谷昭宏氏らが逆提訴へ〜」や大谷氏のホームページを見ればおおむね理解できるでしょう。

大谷氏は

実は原告、佐々木氏と、被告である北海道新聞がどうも姑息な手段を取りそうな気配なのだ。

道新は、ここにきて、社内で独自の調査、聞き取りを開始するようなのだ。裁判が進行中であり、なおかつ第1回の口頭弁論を見ても、自社に極めて有利な情勢が見てとれるのに、なぜ、いま社内調査なのか。

その下心は取材の正当性を立証することではなく、社内で調査した結果、この本の出版には不適切な部分があった、と勝手にデッチ上げ、和解の名目で道警と手打ちを図る。争えば自分が勝ってしまうので、その前に道警に恥をかかさないように、自分から転んでしまう。卑劣で卑屈、土下座根性が丸見えの手法を取りだしたようなのだ。

と書いています。シンポは、道新が道警と手打ちしないように楔を打ち込むためのものなのです。

しかし、以前のエントリー「北海道新聞、道警と手打ちか?問われるジャーナリズム」で書いたように、既に道新は現場の記者も含めて腰砕け状態。今回のシンポに関しても道新の記者は誰一人としてパネリストになっていません(裏で色々努力している人はいるでしょうが、表に見えない以上はやっていないのと同じです)。パネリストの顔ぶれは豪華ですが、保身に走る幹部らに対してどの程度有効なのかは不透明です。

しかし、難しいと分かっていてもやらなければならないこともあります。私は札幌に行くことはできませんが、関心のある方はぜひ足を運んでみてください。また、ブログやSNSに書くなどさまざまな方法もあります。応援を表明する方は、自分の出来る範囲で試してみてください。何かアクションを起こさねば、何も起きません…

ところで、このシンポのタイトルなのですが「北海道はこれでいいのか」となっていて、北海道全体、住民に呼びかけるようなものになっていますが、道民に大きな責任があるとは思えません。道新はこれでいいのかのほうがふさわしいでしょう(いろいろ考慮した結果「北海道」というタイトルになっていることは理解できます。道新はこれでいいのか、としてしまえば最初から道新や道新系列のテレビなどで紹介されることはないでしょうから…)。大谷氏が言うように裁判で本当に手打ちするのか、何人の社員がシンポに参加して、その記事は紙面でどのように扱われるのか。道新の姿勢こそが問われているのですから。道新社内の心ある新聞人の勇気に期待しています。