ガ島通信

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「リンクですから」はもう通じない?グーグルがコンテンツ料金を支払う

CNET Japanによるとニュース記事に関して「グーグルがAP通信へのコンテンツ料金支払いに合意」したという。記事中にはgoogleの方針転換について

Associated Pressに対する支払いはこれまでGoogle Newsが取ってきた立場と矛盾するように思われる。GoogleGoogle Newsは情報のアグリゲーターとして機能しているだけであり、コンテンツへのリンクをすることで報道機関に対し補償金を支払う義務はないとしてきた。一方、Googleはこの合意はGoogle Newsを補完する新たなプロダクトの基盤になるものであり、同社のコンテンツの公正利用に関する考え方を変えるものではないと主張している。

と書かれているが、どうもgoogleのいい訳くさい(google newsってβのままほとんど進化してないし、新しいプロダクトなんて出るのだろうか?)。そもそも、日本では大手新聞社にお金を支払っているわけだし。
「リンクは参照しているだけで、権利を侵害しているわけではない」「アクセスを流してあげているからいいじゃない」という主張をごり押ししていくと、「検索結果だって侵害だ」「キャッシュはダメでしょう」という意見も出かねない。仮にキャッシュまでもアウトになってしまえば、googleの事業の根幹を揺るがしかねない。いまやあまり重要ではないgoogle newsで、うるさい既存メディアと妥協しておいて、うまくいけば何らかのビジネスにつなげたい、という考えなのかも知れない。

これまで多くの、ネット企業、ニュースアグリゲーターがコンテンツを生み出す新聞社や通信社、テレビ局に対して「リンクですから」で逃げてきた。ヤフーニュース(日本)などは、時たま新聞社サイトへ直接リンクすることすらある。「ヤフーはアクセスがあるから(バナーの金額も上がるし、検索連動型広告も押される可能性が高まる)」という理由で、新聞社側も見逃していた。google newsもそうだろう。ただ、そのような中途半端な姿勢が「リンクですから」という言い訳を正当化してきたともいえる。

最近流行のdiggのような新しいニュースアグリゲートサービスも基本的にリンク集であり、以前からネットの世界にあった1行リンクのようなテキストのニュースサイトに比べて、記事に対して評価やコメントができるなど自分のコンテンツとして活用している度合いが強い。googleの方針転換を受けて勢いを得た既存メディア側(コンテンツを持つ者)の姿勢が、diggなどに対してどう変わるのかも興味深い。