ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

「インターネット」村井純著

インターネット (岩波新書)ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)」の勢いはとまらないようです。職場近くの丸善、紀伊国屋でも入り口に平積みしてあります。まるで「読まないと時代に取り残されてしまうぞ」といわんばかりに紹介されています。世間ではますます「Web2.0」(うぇぶ・にーてんぜろ)が広まっているようです(新聞に載ったら流行が終わり、と記者時代に自嘲気味に話してたことを思い出します)が、こんなときこそ立ち止まったり、原点に立ち返ることが重要だと思い、日本のインターネットの父と言われる村井純氏の本「インターネット (岩波新書)」「インターネット2―次世代への扉 (岩波新書)」をもう一度読み返していました。


この二冊は、インターネットとは何かを分かりやすく説明した本と言えるでしょう。歴史と苦労、そしてインターネットが変える未来への希望が書かれていて、今読んでも古さは感じません。「起きていること」は同じです。村井氏は「インターネット」の最後にある「北風と太陽」という章に

「インターネットを使わなければ時代に置いていかれる」という強迫観念を感じている人がいるかもしれません。確かにそうした恐れを煽るような情報もあるし、そういう伝え方をする人もいます。しかし、いままでのインターネットの発展の歴史のなかでは、そういう発展の仕方をしたことは一度もありませんでした。

との文章を寄せています。最近なら、これをウェブ2.0と変えてもいいのかもしれません。2.0的でなければウェブサービスではないと言う業界人や、安易に「○○2.0」などと付けて変化したように見せ掛けだけを取り繕う企業もあるようですが、本質は言葉にあるわけではありません(言葉で儲けるのは理解できるので、分かってやっているならいいです。あと、すべてを2.0と呼んで、2.0を無力化してしまう運動をひそかに年末からやっていたりします。忘年会2.0や花見2.0がソレ)。

話がずれてしまいましたが、二冊には、研究者としてのインターネットへの熱い思いや未来への希望、そして村井氏の「優しさ」も感じることができます。「インターネット」が書かれたのは1995年。「Ⅱ」は98年です。そろそろ「Ⅲ」を読んでみたいものです(いまのところ出版はされていないようです…)。

インターネット2―次世代への扉 (岩波新書)

インターネット2―次世代への扉 (岩波新書)


ネットワーク社会の深層構造―「薄口」の人間関係へ (中公新書)

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