ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

広報学会オピニオンショーケースに出席

広報学会のオピニオンショーケースに出席しました。「検索型生活者時代の企業コミュニケーション」とのタイトルで電通の方の報告があり、そこで少しコメントしました(といっても5分…)。ショーケースは10時から17時過ぎまで続き、危機管理、CSR、ブランドマーケティングなどさまざまな観点から発表があり、大変勉強になりました。
ショーケースは、東京大学大学院助手の関谷直也さんの「関谷報告」(かなりのインパクトがあったらしい)についてのディスカッションからスタート。関谷報告は、広報学が確立していない、広報学が広報されていないと指摘して、次の提案を行っています。

1・報学会のミッションの明確化
2・日本広報学会としての「広報の定義」「広報研究」の範疇の再検証と研究会機能の強化
3・会員企業による「広報」「コミュニケーション」の事例研究の蓄積
4・事例研究の蓄積を促す仕組みづくり
5・「広報研究・実務」用語集(ハンドブック)の作成
6・会員諸氏による種々の教科書の作成

関谷報告で気になったのは、『NHKやJR西日本尼崎事故にからむ問題、警察の不祥事の問題など、広報対応の不手際が問題をさらに複雑にしてしまった事例は多い。これらに対して、日本広報学会は対応してきただろうか。不十分といわざるを得ない』との指摘、『災害に関する学会などは、災害が起きると調査団を結成してその調査を行い、ケースを蓄積する』と暗黙知のケース化の呼びかけ、です。

私は、広報学についての基礎研究すらスタートさせておらず、まだまだ勉強不足で的外れかもしれませんが、先の総選挙における自民党と民主党のネットに対するアプローチ、ライブドアと堀江社長、または東京地検特捜部の広報戦略、列車事故を起こした際のJR西日本JR東日本の危機管理などが、ケース研究に値するのではないかと思います。

また、関谷さんは「広報学会入ったのに服がおしゃれにならないね」とか「ファッションにも気を使ったほうがいい」と周囲から言われるんです。と話していました。どこかの雑誌で読みましたが、最近の大学生の就職人気業種は広報、企画、国際の3K(以前敬遠された3Kはきつい、汚い、汚い)だそうです。例えば、私が以前に寄稿させてもらった宣伝会議の「PRIR」には、企業の女性広報やセレクトショップのプレス担当者がかっこよく紹介されています(この雑誌を読んで広報はもっと泥臭いのだと、不快な顔をした人がいました。現実はそうかも知れませんが、良いイメージで間口を広げることも大切です)。

今回のショーケースには、大学生や大学院生などは、ほとんど参加していなかったようですが、もっと参加を呼びかけてもいいのではないでしょうか。広報に注目が集まっている今こそ『広報学を広報』する絶好の好機でしょう。

関谷報告以外にもたくさんの報告、ディスカッションがあったのですが、特に印象に残ったのは「雪印にみる再生のコミュニケーション」と題した雪印乳業の方の特別報告でした。当時の社長がマスコミでもみくちゃにされながらエレベーターで「私だって寝てないんだ」と発言し、マスコミから集中砲火を浴びました。嵐のような報道を体験し、その後必死の思いで企業再生に取り組んだ雪印の「生の声」が心に響きました。今回は、名刺交換もできなかったのですが、ぜひ直接お話したいものです。