ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

ET研「Google戦略分析」に参加

ジャパンブロガーカンファレンスが終わって、ブログを書いたりしていたら午前4時ぐらいになってしまいました。朝起きて、天気がよかったので洗濯をしてからEmerging Technology研究会に出席。

収益源の話から、広告、アメリカと日本のメディアのあり方から、Googleのライバル比較まで、話は多岐にわたりましたが、一番興味深かったのが『HTMLはクロールできるがページが構造化しづらいが、RSS化することでタイトルと本文が区分けできる(技術に詳しくないので間違っていたらごめんなさい)』との発言でした。これによって、本文と検索連動型広告のマッチングをより強化することができるとのこと。それもRSS化というのは意外と進んでいないそう。これを進めると、市場の拡大はもちろん、本文と広告内容のマッチング精度も上がるので、ビジネスチャンスが増すことになるのでしょうね。

あとは、Googleはギーク向けマーケティングでいいのか、マスにも訴求するものになるのか、マイクロソフトと対立するのかしないのか、参加者の立ち位置やバックボーンによって発言内容が異なって、面白かった。アメリカでは、テレビ番組など共通の話題がないという観点から、マスメディアのあり方なども議論されました。
参加者の方も指摘していたのですが、Googleのよさはあの白くシンプルな検索ページにある(無論技術が最高というのを打ち出しているところもある)わけで、それがGoogleのモットー「邪悪ではない」(「ザ・サーチ グーグルが世界を変えた」による)と結びついて無色透明であるが故の信頼感につながっているということですが、よく考えてみると窓の上には「ウェブ、イメージ、ニュース、グループ、ディレクトリ、デスクトップ、more »」とあります(窓の下には広告や人材募集の告知もある)し、ディレクトリ検索なんて大変使い難いし、シンプルとは程遠いし、ヤフー的なインターフェイスになって行ってるんじゃないの?とか思ってしまいます。実は、皆Googleにだまされていないか?

Googleは検索がコアコンピタンスであることは間違いない。そして、世界(宇宙?)最高の技術を持っているとすれば、あの白いシンプルな画面ひとつで、人のあらゆる検索ニーズにこたえられるようなもの、そういう完璧なものを求めたくなるような気がするんですが…。なぜ、いろんな検索トップページを次々と作り出すのか。それには、いくつかの理由があるのでしょうが、ひとつはGoogleが上場していることにあるのではないかと、他には単純に検索アルゴリズムがそう賢くないから、とか。

例えば、ずっとあの白いページのまま「検索のマッチングが上がっている」とか「新技術を入れました」とか株主に説明しても納得しないでしょうから(株主の納得とGoogleのユニークな株構造については別)、とりあえずサービスを次々打ち出しているように見せていくことが必要なのではないかと…。Googleが製造業などと違う点は、これからのサービス拡大や規模増を期待して株価が上昇している点です。確かにアドワーズなど広告収入は伸び続けていますが、Googleは売り上げでマイクロソフトの16%ですが、株の時価総額は半分弱もあります(「Googleは前途洋々たる勝ち馬ITmediaより)。白いページのイメージを残しつつ、さまざまな検索トップページを展開せざるを得ない現実と言うのは、実はGoogleの弱点なのではないかなと思ったりしました。

最近、少なくとも日本ではGoogleはマスメディアとは全面的に競合しないと思い始めているのですが、Googleにとって一番美味しいのは、Googleの幻影に怯えた企業のほうが動いてGoogleの土俵に載ってくることなのかもしれません。(「『グーグル効果』が市場に押し寄せる--IDC、2006年の予測を発表」CNETより)。

「邪悪ではない」を再び持ち出すと、だいたい「私はいい人」とか言う人に限って…というのが常識的な展開ですし、無邪気というのは時として確信犯より性質が悪い。とか、いろいろ考えていたらまとまらなくなってきました。

最後に、shikeさんに突っ込み入れられていました

あと藤代さんがなんか言うたびに虚業虚業というの、ちょっと雑すぎる。もう少し言葉を選ばないと虚勢にしか聞こえないぜあんちゃん。

そうですね… メディア=虚業という言葉は、新聞・テレビ(バイトだけど)の現場を経験した私としては、すごくリアリティがあるのですが、それは感覚的な言葉にすぎませんし、本当の意味が伝わらなければ意味がありません。多用してしまうのは自分の中でのブームなんだろーなと思ってみたり… 議論の中で使う場合はもっと言葉を整理していかないといけませんね。気をつけないと。昼食時のshikeさんの呆れ顔を思い出しつつ、反省の意味を込めて私の「ブログ・ジャーナリズム―300万人のメディア」と交換させてもらった、「図解 ブログマーケティング」を読むことにしよう。

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