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「そんなマーケティングなら、やめてしまえ!」セルジオ・ジーマン

そんなマーケティングなら、やめてしまえ!―マーケターが忘れたいちばん大切なこと

そんなマーケティングなら、やめてしまえ!―マーケターが忘れたいちばん大切なこと

原題は「The End Of Marketing As We Know It」、サブタイトルは「マーケターが忘れたいちばん大切なこと」。著者のセルジオ・ジーマン氏は元コカコーラのマーケティング最高責任者(CMO)、マイクロソフトやミラービールも担当していると紹介されてます。発行が2000年なので古い点はあるかもしれませんが、「マーケティングはイメージを作り出すものではなく利益を出すためのもの」「イメージや感動のあるCMで生まれる仮想消費に惑わされるな」「マーケティングは賞を取るためのものではない」「深夜のテレビ番組(通販もののやつだ)をなぜ参考にしないのか」「自社ブランドの共食いを恐れるな。競合相手に奪われるぐらいなら、自社のほうがまし」「去年のアイデアは葬り去れ」などと言い切ります。
ジーマン氏は、最近流行のMBA本やビジネスレビュー誌で紹介されるマーケターや研究者のように一流大学のMBAスクール出身ではなく、メキシコのマッキャンエリクソンに入り、それがきっかけでマーケティングの世界に入ったというたたき上げ。自身の体験を交えながらの辛口マーケティング論は軽い感覚で読むことができます。

初心者はもちろん。フレームワークやケーススタディなどの「ワナ」にはまって、手段と目的がよくわからなくなっている人(フレームワークが目的になっている人)にもお勧めできます。アマゾンのユーズドであればかなり安いので、買って損はないでしょう。

新しいマーケティングの原則としてまとめられているもののなかから私が気に入ったものをいくつか紹介しておきます。

・マーケティングは魔法ではない
・目的地を決定せよ。どこに行けるかではなく、どこに行きたいかによって決めろ
・創造性とは古いアイデアを破壊するプロセスである
・魚のいるところで釣りをせよ
・切迫感を持ち、情熱を持って仕事をせよ。そうでなければ朝起きる意味がない