ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

「ブログ 世界を変える個人メディア」の著者ダンギルモア氏が講演

ブログ 世界を変える個人メディア
ブログ 世界を変える個人メディア」の著者で、アメリカで草の根ジャーナリズム実践のベンチャー企業「グラスツールメディアインク」を立ち上げているジャーナリストのダンギルモア氏が来日。グローコムでの講演、その後の食事会、アップルストアでの湯川さんとのセッションまで、朝日新聞の方の好意により同行できました。ありがとうございました。

グローコムでの講演内容は著書に沿ったもので、アメリカのブログジャーナリズムの現状について分かりやすく説明があった(服部さん通訳ご苦労様でした)。アップルストアでは、会場からの質問を元に、湯川さんとギルモア氏がディスカッションするという形式で進行。CNET「情報化社会の航海図」H-yamaguchi.netちょーちょーちょーいい感じ、などのブログでアップされているので、大体の概要がつかめると思います。

ライブドアニュースも取材に訪れていたようで、「世界を変える"ブログ"の力 〜ブログジャーナリストのダン・ギルモア氏が講演〜」との記事をアップしています。

既にたくさんの方が書いているので、内容についていまさら書いても仕方がないと思われるので、興味がある方はぜひ本を読んでいただくことにして、観想を少し。

アップルストアでは、湯川さんが「日本でパブリックジャーナリズムが実現すると思いますか?」と会場に聞く場面がありましたが、挙手したのは目測2割程度。その後、上記のブロガーも指摘している「ジャーナリズム」という言葉の意味についてのディスカッションがあり、「身辺雑記などを含めた幅広い意味でのジャーナリズムが…」と再び聞いたところ、6〜7割程度が手をあげたように見えました。セッションの後で、出席者数人とディスカッションしたところ「パブリックジャーナリズムと言われるとちょっとね…」という意見がありました。最初反応が少なかったのは、ジャーナリズムと言う言葉の定義のほかに、パブリックジャーナリズムと言う言葉が、日本では、色がついたというか、すでに微妙な意味合いを持つようになっているのも原因かもしれません。

山口さんの『ジャーナリズム論が「ジャーナリズム道」のようで堅苦しい』という指摘は、元新聞記者としては申し訳ないというか、もしかしたら私の話も堅苦しいときがあるかもしれません。ジャーナリズムと言う言葉に大きな意味を見出しすぎと言うか、ジャーナリズム的か否かの入り口論から一歩も進まないと言うことがあります… 個人的には、身辺雑記や感想もジャーナリズムになり得ると思っています。マスメディア=ジャーナリズムという意識の人が多いとしても、今まではインフラやシステム、ツールが整備されていなかっただけで、マスメディアしかジャーナリズムの担い手がいなかったということだと思います。せっかくブログなどのツールが手に入ったのだし、これからは「肩の力の抜けたジャーナリズム」がもっとあっていい。

ギルモア氏は「未来のニュースは講義型から会話型になっていく」と何度も語っていましたが、新聞界の学級委員長こと朝日新聞が出版しているのが微妙…さらにライブドア・堀江社長が本の帯で「脱構築せよ!」と呼びかけているのもかなりの微妙さ…。帯を頼んだ後に、ホリエモンが選挙に出てしまったのは、朝日新聞によって「想定外」で、担当者が慌てたとか、慌てなかったとか…