ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

総選挙を振り返る 1

「自民党をぶっ壊す」という刺激的な言葉で始まった今回の衆議院議員選挙。結果的に、衆院自民の「抵抗勢力」だけでなく、民主を派手にぶち壊し、労組の存在感を消し、参院自民の動きも封じ、公明を微妙に壊して終わりました。ちなみに、ぶっ壊し解散の蚊帳の外だった社民(前回ぶっ壊わされている)は微増、共産は現状維持と確かな2小野党?として生き延びていくすべを見つけた模様です。

各党の選挙戦略については、新聞やテレビによる分析のほか、多くのブロガーが書かれています。「郵政解散」とテーマを絞ったうまさ、刺客やネットなど話題づくりに長けた「劇場選挙」など。そもそも、民主党は、その成り立ち、議員の各政策へのスタンスなどを自民と明確な差がありません。そうなれば、プレゼンテーションのうまいほうが勝つ。自爆炎上モデルの代表のような小泉純一郎首相の前には、真面目な岡田克也党首では、最初から勝負は見えていました。それでも、ここまで勝つとは思いませんでしたが…

岡田氏が選挙結果の印象をテレビで語ってましたが、「政策を堂々と訴えるやり方は間違ってなかった」と選挙戦略のミスを認めず(というよりミスと思っていない可能性あり)、「マスコミが…」と責任を転嫁するようなことを話していました。最後までわかっていない。ある意味、リコール直後に「真面目、真面目」と打ち出す三菱自動車並みの恥ずかしい炎上ぶり(あれは本当に炎上だったわけだが)を展開するぐらいではないと、難しかったでしょう(それでも勝てたかどうかは怪しい…)。

自爆炎上つながりでいくと、小泉首相に率いられた自民党だけでなく、辻元清美氏、鈴木宗男氏(牛乳で乾杯はよかった!)ら、そうそうたる炎上モデルの候補者たちがゾンビのごとく生き返りました。ちなみに、ホリエモンも自爆炎上モデルではないのか、と言われそうですが、今回はどこか本気度が足りない気がしていました。確かに「改革」Tシャツを着るなど、頑張っていましたが、何か(宇宙まで?)行ききれていない感がありました。選挙特番の亀井氏のほうが、「天皇制が」とかぶっ飛んだ発言をしていて、新橋の酔っ払い親父のようでよかったなー。

マスコミは、さっそく郵政民営化が何たるかも検証せず、郵政法案に反対した参院議員が「民意は改革を望んでいる」(野田聖子もそう言って自民に復党すれば、またチャンスはあるかもしれない。選挙というのはとにかく勝っておくことが大切)と寝返ったことを報じるなど政局にご執心ですが、利権が複雑に絡み合う郵政民営化は簡単にはいかないはずです。300議席という国民の声があって、ようやく霞ヶ関と永田町を変えることができるという側面もあるはず。過疎地の郵便局がどうなるかも大切ですが、郵政利権が具体的にどのようなものかや(不勉強で具体的にはよくわかりませんが、特定郵便局長→自民党旧田中派、労組→旧社会党という政治とのつながり、総務省などとの関係、委託先などか?)、構造改革を進めるのであれば、どこに問題があって、何をやらなければならないのか、を伝えてもらいたいと思います。

それにしても、選挙が終わったとたんに「日本の民主主義これでいいのか?」とか「小選挙区制度に問題がある」などの発言をちらほら見かけました。7割弱という投票率で行われた選挙の結果が、自分の思うものにならなかったからといって否定するというのは、それこそ民主主義ではありません。エセサヨクの負け犬の遠吠えぶりに嫌になります。劇場だろうがなんだろうが、ルールの中で勝つことこそ大切なのですから…

追記 404 Blog Not Foundさんからのトラックバックに『…それを「エセサヨクの負け犬の遠吠え」呼ばわりとはあっぱれな自己否定ぶりではないか。今後どんなルールが登場しても、ガ島氏におかれては是非何も言わず、粛々とそれに従って下さるもとの期待する。当然現在の公職選挙法は大賛成なのだろうし、Webやblogの使用が今後の改正によって明白に禁止されても、ルールはルールなのだから…』とあった。なぜ、このような反応になるのでしょう。私はルールそのもののが完璧だとか、間違ってないとか言っていないはずですが…。

ルールに問題があれば、手続きに従って変えていけばいい。ルールを変えることができるのも民主主義、そんなことは当たり前なのでは? そもそも、小選挙区制度に死票が多いことは以前から指摘されていたわけですが、それを選んでいるのも有権者です。ただし、完璧な選挙制度というものは存在しないし、問題点を洗い出す作業は常に必要だと考えています。