「ネットは新聞を殺すのか」青木日照＋湯川鶴章
新聞だけでなく既存メディアに関わっている人の必読の書と言えます。２００３年の出版ですが、今のメディアやネットの状況を非常に的確に予想しています。中身はぜひ読んでもらうことにして、湯川鶴章さんが「おわりに」に書いた文章の一部を紹介したいと思います。『私は正規の試験を受けて通信社に入社したわけではない』『アルバイトとして通信社の支局に勤めた。仕事内容は進出企業向けのニュースレターの配達だった』『その後は特派員が会社に内緒で記者の肩書きの名刺を作ってくれ、記者の仕事に専念するようになった。それでも、社内的には速報配達員のままだった。給料は低く、社会的地位はゼロだった。特派員に対して愛想を振りまくのに、私とは言葉を交わそうとしない外務省の役人もいた』『将来に不安をおぼえなかったわけでもなかった。ただ報道と言う仕事が好きで、好きで仕方がなかっただけだった』
『自分が半生をかけて愛してきた新聞記者という仕事が、インターネットの登場でどう変わろうとしているのか。それを知りたいがためにこの本の取材を続けた。もしこの本の読者の中に、私が新聞の仕事を軽視していると受け止められた方がいれば、それはその方の誤解である。大事に思っているからこそ、客観的に先行きを読もうとしたつもりだ。紙の新聞がなくなればいいのになどと思ったことは一度もない』（一部抜粋。全文は本で読んでください）。湯川さんの気持ちが、一人でも多くの読者、そして新聞関係者に伝わることを願っています。
