ガ島通信

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堤義明氏逮捕に思う

西武鉄道プリンスホテル、スキー場などレジャー、不動産などの巨大企業グループを率いた堤義明氏が東京地検特捜部に逮捕されました。マスコミの常として「落ちたムネオ」を叩くがごとく、今後は批判的な記事が大量に出る可能性があります。しかし、何事にも功罪は必ずあるはずです。

私は、首都圏に住んだことがないので、西部沿線の文化については良く分かりませんが、堤氏とコクドがスキーやスノーボードなどの冬のレジャーを身近なものにしたことは高く評価しています。コクド系列のスキー場は、表示板も分かりやすく、食堂やトイレなどの施設も整備されており、安心して遊ぶことができます(どれもが画一的でコンビニ的なのがちょっと不満)。ただ、コクド系スキー場の開発方法には「オリンピックやワールドカップを誘致して、名前を売って自社の利益につなげている、ウインターレジャーの発展などは考えてもいない」と、まるでライブドアへの批判と同じような指摘も一部にありました…。

先日、越後湯沢に宿泊して苗場に初めて行きましたが、田舎者が想像していたイメージほどの輝きはありませんでした。そびえ立つプリンスホテルに向かって滑り降りるのが苗場の特徴なのでしょうが、建物は古びており、スキー場全体がバブルの残骸のように思えました。堤氏の「趣味」とも言われたレジャー事業は、バッシングの中で不要とされ、資産は切り売りされていくのでしょう。今やウィンターレジャーに取り組む企業は、東急グループ加森観光など、ごくわずか。苗場を含めた、全国のスキー場の今後も気になるところです。

例のごとく、各社の朝刊には「きょう逮捕」の前打ちがありました。各社の解説記事などは「逮捕への道のりは平坦でなかった」「逮捕にこぎつけた」と特捜部の手柄のように書き立ててていますが、裏を返せば無理やり逮捕に持ち込んだともいえます。証券取引法違反での逮捕、死者を出した特捜部の捜査方法に問題はなかったのかも検証するべきです。