ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

「カナロコ」住民になってみた

神奈川新聞がコミュニティサイト「カナロコ」をスタートさせました。「神奈川新聞災害情報ブログ(準備中)」について書こうとしていたら、ニュースサイトそのものをブログ化!!! やってくれました。ついに、組織として新しい世界に一歩を踏み出したメディアが現れました。さっそく私も住民登録しました。同じ地方紙職員の立場から言えば(メディア部員でなく文化部ですけど)。「やられちゃったな〜」というのが正直な感想です。興奮とともに、自分自身と自分が所属する社のダメぶりにしょげ返っています。

 

「カナロコ」最大の特徴は、なんと言ってもニュースにコメントやTBが出来ることです。批判を恐れる新聞社がよく踏み切ったなと…。会員制にしたのはコメントが荒れることへの抑止効果を狙っているのでしょうが、記事の間違いや取材の不十分さを指摘されれば、何らかの対応をせざるを得ないでしょう。これはメディアリテラシーにとっても非常に重要です。朝日VSNHKのように自分の城に閉じこもってドンパチやるのは、読者・視聴者不在です。幅広い読者が参加して、記事の感想や問題点を指摘する。読者には「メディアに関わっているのだ」という参加感が生まれるでしょう。記者にとっては、読者の厳しい目にダイレクトにさらされる(当たり前のことですが、これまではなかった)ことで取材方法や行動にも気を使うようになるでしょう。署名記事を増やせば、スター記者・スターコラムニストも生まれるかもしれません(ダメ記者をチェックすることもできる)。賛否が街づくり計画や公共事業などでは、議論することで新しい方向性が生まれる可能性もあります。ネットとリアルが融合した「世論」のようなものでしょうか。


 

さらにMMブログという街ネタコーナー。地域を限定したコミュニティサイトならではの展開です。これは少し前に私が鉄道会社のHPについてあるメディア関係者に提案した内容「駅ごとにブログを作ればいい。近くの飲み屋情報とかイベント情報とか、必ず入れてくれますよ」に近いものです。「世の中には何歩も進んでいる人がいるのだな〜」と関心しています。

 

これは「判断は誰がする」でにせ藤沢人@藤沢生活さんからいただいた参加型ジャーナリズムに関する宿題にも関連しています(やり取りはコメント欄参照)。「まずニュースをブログ化して」などと書いていたら、TBいただだいたのであわてて書き直しました。ネットでのニュースメディアは動き始めたばかり。やってみてナンボです。神奈川さんもこれからいろいろあるでしょうが、頑張ってほしいと思います。それに、スタッフの皆さんは決して「臆病」ではありません。臆病なのは、横並び意識と紙の呪縛から逃れられない他の新聞社の社員たち、そして文句を言いながら組織に留まっている私です。

 

個人的には、カナロコ星人というキャラクターもしょっぱい感じで悪くない(血液型は違うけど、誕生日も同じだしね)。

 

ネットは新聞を殺すのか猫手企画@新聞屋にも記事あり、参考にしてください。


追記 そういえば、アスパラクラブとの比較を忘れていました(kaimさんありがとうございます)。アスパラクラブは従来型(プッシュ型)の展開ですね。私もブログに出会わなければ「すごい」と思っていたでしょう。新聞社の「売り」はやはりニュースです。批判も含めて、話題になればオイシイ(これはジャーナリズムの側面で考えれば難しいところはあります)。アスパラのコンテンツはお金がかかっているように見えますが、双方向性が十分とは言えず、参加感が非常に希薄です。ネット界のスピードは本当に速い、新しい技術や話題をドンドン取り入れていく必要があります。ビッグクラブ(苦)を自称するアスパラですが、コンセプトが一世代前。このままではカネはあるが、フットワークが鈍いビッグクラブに終わるかも知れません。