ガ島通信

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関西には空港が多すぎる

関西国際空港の決算が黒字化したというニュース。国からの支援(なぜか補給金などという意味不明な言葉)がなければ赤字ですが、2本目の滑走路予算がほしい関空会社としては、なんとか黒字にしたというのが実態でしょう。ここ数ヶ月、各新聞の伊丹空港の格下げ議論や2本目の滑走路を取り上げた記事を読んでいましたが、論点をどこにおくかフラフラしていて、何が問題なのか読者に分かりにくかったのではないでしょうか。
私は問題点はひとつだと思っています。関西には空港が多すぎるのです。関空2期工事をこのまま進めるのであれば、神戸は即刻中止、伊丹は廃止すべきです。

関空、伊丹に加え、2006年春には神戸空港が開港します。実は、兵庫県には但馬空港、和歌山県には南紀白浜空港もあるのです。関東には羽田と成田の2つしかない。これこそ無駄遣いだし、関東の人は怒るんじゃないでしょうか。
街中にある伊丹空港では地元に環境対策費を支払っています。それが、2005年度からの15年間で総額637億円(これでも一年あたりの額は半額になった!!)。関空は騒音を軽減して24時間空港にするため、莫大な埋め立て費用と漁協などへの保証金を支払い海上空港にしたわけですが、伊丹は残り、騒音への対策費も支払い続けている。何のコッチャ?意味不明。
「騒音は嫌だけど、伊丹空港がなくなるのは嫌なんて、そりゃあムチャです。地域エゴはやめめましょう」なぜ、そう書けない。
神戸空港に関しては、反対運動も起きましたが(現田中長野県知事も反対運動をしていました)、住民投票条例は議会で否決され、市会議員選挙で反対派の勢力が減少。結果的に神戸の人たちは事業推進を選んでいます。どう考えても、採算は難しいでしょう。もし赤字になったときは国のカネを使わず、神戸市税で補填してもらえるんでしょうね。それが「自己責任」ってやつです。
もちろん、本来このような地域エゴを調整するのが中央省庁のはず。しかし、関連する事業が多くなればなるほど、利権が拡大し(すごく大雑把ですが、空港会社が3つになれば、公共工事も3回。天下りポストも3倍に、そんな感じで利権も大きくなる)、知らぬ間に国民の金で肥え太っている官僚サマが聞く耳など持つわけがナシ。結局、痛みは幅広い国民の税金でまかなわれる。という結論に… そしてメディアは「国が悪い」の大合唱。ああ、いつもの繰り返し。
こんなことをやっている間に、韓国には仁川空港が誕生。地方都市の日本人の多くが、韓国を経由してヨーロッパなどに向かっています。地域エゴが、他国を有利にしているわけです。官僚や国会議員ばかりに「調整」と「責任」を押し付けるのでなく、地域住民や納税者にとって耳の痛い話も書いていくべきではないでしょうか。