ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

続発する不祥事

「ジャーナリズム考現学」さんが、Japan Media Reviewからの「日本のメディアの不祥事について」コメントを求められ、ブログで回答しています。こちらは、まったく求められていないのですが、勝手に回答してみました。「ジャーナリズム考現学」さんの回答と比べていただければ、面白いのではないでしょうか。


1、ネットの普及は記者のモラルにどう影響しているか。ネット記事を引用す
る場合の基準はどうなっているか。


『資料調査でネットは大活躍(笑)。そこから引用することに抵抗がだんだん薄れてきているように思えます。他紙の引用問題で揺れた朝日新聞では基準が示された資料が配布されたと聞いていますが、私の属する社ではありません。ただ、地方にいる記者としては中央官庁の発表や審議会での議事録がネットの普及で簡単に手に入るようになったというのもメリットです。どのような問題でも功罪はありますが、最も重要なのは記者の問題意識だと思います』


2、記事が出版される前に、ゲラのコピーやその他の独自に入手した書類を取材先などの第三者に見せることはあるか?記事の内容など、取材先が事前にチェックすることはあるか?


『ゲラは原則として見せません。ただし、記事の内容やトーン、タッチを伝えることもあります。資料はケースバイケースでしょう。資料を見せなければ取材が進展しない場合もあります。また、捜査当局へのネタの「持ち込み」もあるようです。私の周囲で持ち込んだのを見たことはありませんが…』


3、報道倫理に関する社内教育は行われているか?


『特にありません。設問1とも関連しますが、新聞社内では報道倫理どころかジャーナリズムについてまともに話し合う場が非常に少ないと思います。研修などもあるかもしれませんが、だいたいが上滑りで、「きれいごと」で終わってしまいますので、現実とのギャップを考えれば徒労感や虚しさだけが残ってしまいます。新聞記者ほど言ってることとやってることが違う人種はいないと思います。だから上司に倫理を説かれても説得力がありません』


4、記者同士の世代間の価値観にギャップはあるか?


『もちろんあるでしょう。ただ「ジャーナリズム考現学」さんが言うように、何に対する価値観かが分からないと具体的に回答は難しいです』


5、ここ数年で、記事の質が低下した、と感じることはあるか?もしあるとすれば、その理由(人手不足、人材不足など)。


『そもそも、そう質の高い記事を提供できていると胸をはって言えないので…。ただ、どこの社でも新規採用は抑制され、ページは増えているので、一人当たりの仕事の分量が増えているはずです。全国紙のベテラン記者が「昔は新人が書いた原稿のほとんどがボツになり、真っ赤になった原稿がゴミ箱行きになって悔しい思いをしたが、今はどんな原稿でも使わなきゃ紙面が埋まらない」と言ってたのを思い出しました』


6、取材経費は以前と比べて削減されているか?そうであるとすれば、これが取材に与える影響は?


『多分減っていると思います。ただ、経費よりも人が減っているのが痛いと思います。深く掘り下げた記事が減り、余裕がないため、ネタを足でかせがなくなってしまう。それが1の質問にもつながってくるのではないでしょうか』

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