ガ島通信

メディアとジャーナリズムの未来を追いかける

野球のない週末

既存マスコミは「選手や経営者は夢を壊すな」などと批判しながら「損害●億円」などとお金のことばかりクローズアップ。「夢」ではなく「金」でしか物事が判断できないことを露呈してしまいました。


さて、週末の各紙です。読売新聞の社説や署名記事への感想がブログ上を駆け巡っていますが、20日になって毎日新聞も署名記事(そもそも毎日はほとんどの記事が署名入りですが…)へ参戦?1面で中嶋論説委員が「赤字がかさみそれを克服する知恵もないなら、若い経営者に委ねたらどうか?」と無能な経営者へ退場を勧告しています。産経新聞も1面。社会面では銀座でのファンイベントを大きく取り上げています。これは、各テレビ局(日テレは見ていませんが…)も「謝ることないぞ!」と古田が声をかけられていた映像を流していましたが、読売はアリバイ作りなのか?社会面でひそやかに文字だけでした。ところで、またまた独自路線を歩む産経。「社会部発」とのコラムで、根来氏が17日に「消費者機構日本」の会長に就任していたことを、プロ野球問題とからめて書き「コミッショナーがお飾りに過ぎないと話はずっと前からあった。根来氏に何かを期待してきたわけではない」と辛らつに皮肉っています。それにしても、プロ野球問題に進退をかけたはずの根来氏がスト突入か回避で揺れる17日に新たな団体の長に就任していたとなれば「逃亡」と疑われても仕方がない出来事でしょう。


しかし、この「ニュース」を、どの既存メディアも大きく取り上げなかったのはなぜなのでしょう? 検察出身で公正取引委員会のトップ(なのに新規参入を妨害するオーナー側を支持!!!、公正取引委員会の欺瞞もバレてしまった)も歴任した人間が、リーダーシップもとれず19日付けの読売新聞の独占インタビューで「今のマスコミ(つまり読売グループ以外ってことでしょうが…)はプロ野球を笑いものにしている」と最後のスカシッペ。笑いものになっているのは、読売と自分だということに気付いていないのがあまりにかわいそうでした。


プロ野球ストに入って、ストが終わってしまいました。ついに、既存メディアはこの問題の本質を書くことはありませんでした。パ・リーグの経営は本当に赤字で行き詰っているのか? なぜ、野球協約に「30日以内に判断する」と規定されている新規参入が速やかに行えないのか、ドラフトに問題はないのか。日々のファンや選手の動向や損害賠償の金額だけでなく、議論すべきことはたくさん有るはずです。


※9月16日発売のNumber「ガンバレ、ガンバレ、野球!」が結構くわしいです。俳優の唐沢寿明さんが「選手会を支持」とのニュースを読みましたが、個人的には普段から「野球好き」を公言している芸能人やプロ野球OBはもっと積極的に発言してもらいたいと思います。ちなみに、損害賠償について昨晩のNHKスポーツで漫画家の黒鉄ヒロシ氏が独り言と前置きした上で「募金しよう」と呼びかけていました。もしそうなれば、私も募金したいと思っています。〈関連HP〉 日本プロ野球選手会 野球の未来を創る会

21日追記
夕刊フジも根来問題を書いたようです。