ガ島通信

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なぜMARCHの学生は、大学に入ったら東大生より勉強しなければならないのか

4月半ばを過ぎ、大学1年生の皆さんもそろそろ最初の緊張感が失われ、アルバイトも始まり、サークルなどで先輩から「勉強なんてしなくていいよ」と囁かれる頃です。ですが、自分がなりたい職業や担いたい社会的な役割があるとしたら、大学の研究に真面目に取り組んで下さい。

まず、法政の1年生向けのガイダンスに使う図を紹介します。

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日々の努力は、時がたてばものすごい差として現れます。トップ校(東大・早慶など)の学生と、法政のようなMARCHレベルの学生と異なるのは子供の頃から積み重ねてきた勉強の努力差であり、入学時点で既に差がついています。

法政の学生がこれまでの努力を続けても、トップ校の学生とは差が広がる一方なのです。大学での学びをやめてしまえば、もっと広がってしまいますよ、ということを話します。

大切なことは可能性を広げること

この話は、トップ校の学生が偉いとか、勉強が出来る人間が良い人生を送るとかを言っているわけではないことに注意してください。努力を積み重ねることで、自分がなりたい仕事を選んだり、良い人脈に出会ったり、チャレンジ出来る可能性が高まったり、という選択の可能性が広がるということなのです。

努力は、勉強でも、スポーツでも、芸術でも、会社に入った後でも、取り組んでいく必要がありますが、勉強以外は、外部環境や人間関係といった「変数」が多く、ただ努力しただけでは成果につながりません。ですが、偏差値は努力が結果につながりやすいのです。勉強という努力ができない人が、起業や社会に出て努力できるかというと怪しいわけです。

「これまで出来てませんでしたが、頑張ります」という言葉を信じるほど企業はお人好しではないので、就活時の学歴フィルターというのも、合理的な判断だと言えるでしょう。逆に言えば、大学でしっかり学んだことを説明すれば、それが実績となり多くの企業は受け入れてくれます。

大学は、勉強という成果が出やすい努力で勝負ができる最後のチャンスです。だからこそ、MARCHの学生は、東大生より大学で勉強しなければならないのです。

自らの環境を把握する

成長するためには多様な構成員が必要とされています。トップ校はそれ以上の大学がないので、ものすごく出来る学生も、ギリギリ受かった学生も混じります。地方からトップ校に行った人で多く聞くのは「自分が一番出来ると思っていたけど、全然ダメでショックを受けた」というものです。

むろんそこで挫折してしまうトップ校の学生も多いのですが、勉強が出来るだけでなく、勉強に加えてスポーツが出来る、本をものすごく読んでいる、頭の回転が猛烈に早い、などすごい奴を見て、日々の努力を続けなければいけないと考える学生もいます。努力の上に別の道を歩もうと知恵を絞る人もいます。つまり、トップ校は環境によって努力が上振れする可能性があるのです。

一方で、MARCHレベルだと、すごい奴はまれで、とんでもなく出来ない学生もいません。学生が均質化してしまい。「なんとなく自分たちが普通なのかな」と勘違いし、パフォーマンスを下げる傾向にあります。自らの置かれた環境をしっかり把握しておきましょう。

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逆転のチャンスはある

このような身も蓋もない現実を突きつけると、法政の学生は現実から逃避してしまうわけですが、逃げても何も起きません。学歴コンプレックスなど劣等感を抱えたままでは、良い方向には人生は向かわないでしょう。

逆転のチャンスはあります。それは学びの質が、大学入試までと、大学では異なるからです。入試までは「正解がある学び」で、大学からは「正解がない学び」になるからです。

代ゼミでは、メディア実践を行うだけでなく、研究を重視しているのはこの「正解がない学び」を実感し、考えられるようになってもらうためです。ただし、学びの質が変わってもトップ校の学生が努力出来るので、努力量がカタパルトのようになってしまいます。

緩やかな丘を歩いてたのに急にアルプスに登るみたいなものですから、滑り落ちる(ゼミを辞める)学生も多くいます。それまで楽をした自業自得なので仕方がありません。本や論文を読んで、研究して、考えて…登るしかありません。

カタパルトを登るために、本を読む(読書祭り)、企業や自治体との共同研究、良質な人的ネットワークの提供も行っています。

「正解がない学び」というのは思いつきではありません。自分の頭で考えるためには「正解がある学び」の積み上げが必要です。根拠が説明できないアイデアは例えうまく言っても再現性がありません。「正解がない学び」の面白さに気づいた学生は、もう一度本を読むなど基本的な学習に取り組みます。学びに楽なルートはないのです。

守破離という言葉がありますが、「正解がある学び」=守、「正解がない学び」=破、までがゼミの役割です。離=学生が社会に出て自分なりの価値を築いてくことです。

 

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大人の甘言は破滅の道

「自分の土俵をつくれ」とか「別の道もある」とか「偏差値だけで決まらない」とか言う大人もいますが、そういう甘言を聞いてサボったら破滅するだけです。先輩の言葉よりも危険です。勉強しても無駄なので起業や特殊な経験(芸能活動、自転車で世界一周など)を勧める大人もいます。それができるなら目指しても良いですし、出来る人はいいのですが、その確率(勝率)が何パーセントか考えてみましょう。

また、言っている人の大学や経歴を確認してみましょう。思いっきりトップ校だったりしますし、芸術家や起業家などいばらの道を生き抜いて来た人であったりします。いばらの道の生存確率は非常に低いのです。

むろん、こんな急なカタパルトは難しいので、平均よりやや上を狙いたいという学生がいても良いのです。私が所属する社会学部は教員も多く、学生に合ったゼミを選ぶことが出来ますし、もしくはゼミを取らずに別の努力をすることも可能です。要は学生のやる気と、覚悟次第です。

そもそも大学は勉強する所です。最近は就活時にもサークルやアルバイトの話をするのではなく、大学で何を学んだか聞かれることが増えています。高い授業料も払っているのです。スマホのゲームをやめ、授業をしっかり聞き、本や論文を読みましょう。ついサボってしまう人は、授業後に何時間か図書館で勉強するなどのルーティンを決めて、努力していく癖をつけていくことをおすすめします。自分の力を信じて努力を積み重ねて欲しいと思います。

努力は必ず誰かが見てくれている

MARCH以外の大学生、既に大学を卒業してしまった、という人もこの記事を読むかもしれません。努力し、学ぶことは、いつから始めても間に合いますし、キツイですがその努力を見てくれている人が必ずいるということも付け加えておきます。

安定していると言われた会社が次々とリストラを行う時代です、メディア業界も非常に変化が激しいのです。大学時代に特殊な経験ではなく、学ぶことを勧めるのは、会社に入った先も学び続けることが必要になっているからです。

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